キドプレスの歩み Part2

2015年8月28日(金)〜 2015年10月3日(土)
月・火・祝日は休廊


<展示作家>

Robert Rauschenberg


第一部のジャスパー・ジョーンズ展に続き、「キドプレスの歩み」展の第二部はロバート・ラウシェンバーグを特集します。本展では「ラウシェンバーグと写真の関係性」をテーマに、フォトグラビュール(写真製版技法の一種)で制作された銅版画作品を展示・販売いたします。

この機会にご高覧ください。


<作家紹介>
Robert Rauschenberg (1925-2008)  1925年生まれのロバート・ラウシェンバーグは、ジャスパー・ジョーンズとともに20世紀のアメリカ現代美術を象徴する存在として様々な伝説を残し、アンディ・ウォーホルなど同時代のアーティストから現在に至るまで世界の美術史に多大なる影響を与えました。戦後の抽象表現主義に続いて新しい美術運動が勃興する時代の転換期を生き、アメリカ現代美術黎明期の1960年代に非芸術性や即物性の問題に取り組んだラウシェンバーグはネオ・ダダの枠を越え、さらなる歴史的な変遷を遂げていきます。  ラウシェンバーグは自身の作品を「コラージュ」ではなく「コンバイン(結合する、結びつける)」と呼び、ストリートに捨てられたゴミ同然のものを拾い集めては、描く行為と同じようにキャンバス上で結合する行為を繰り返し、絵画でも彫刻でもない実験的な作品を次々と発表していきました。芸術と生活の間に境界線を引かず、日用品や印刷物、ゴミやガラクタなど廃材を集積させた「コンバイン・ペインティング」をはじめ多岐に渡る作品を展開していきます。 また、ジョン・ケージの音楽における偶然性や不確定な要素に影響を受けたラウシェンバーグは、制作途中に大きく割れてしまった石版をそのまま刷って《アクシデント》と題したリトグラフ作品を発表するなど、偶発的な出来事を導入した作品も数多く発表しています。  本展では、「コンバイン」や「偶発性」というキーワードを元に「ラウシェンバーグと写真の関係性」について再考します。出品作の《Street Sounds》シリーズは、まずフィルムで撮影し、次にカラーの写真をCMYK化して、4色に分解された版を刷っていくという新しい試みでした。一方、《Ground Rules》シリーズは、モノクロームの写真を元に複数の版を作り、それぞれ違った色の版を重ねて刷るという全く異なるアプローチで制作されています。 このような1990年代に制作された二つのシリーズを比較展示することで、写真のイメージを結合して版画作品として再構築するラウシェンバーグのエネルギッシュな実験精神を垣間見ることができるでしょう。今回の展覧会ではフォトグラビュールによる大型版画作品およそ7点を展示いたします。ぜひご高覧ください。

ストリートサウンド
『Street Saunds』1992年、エッチング、フォトグラビュール 1168 x 1397 mm (paper size)


ロータリードライブ
『Rotary Drive』 1997年 フォトグラビュール 572 x 762 mm (paper size)

ストリートサウンドウエスト
『Street Saunds West』1993年、エッチング、フォトグラビュール 1435 x 883 mm(paper size)

<作家紹介>

1925 テキサス州のポート・アーサーに生まれる。
1947 カンザスシティ・アート・インスティチュートで学ぶ。(〜1948年)
1948 パリに渡り、アカデミー・ジュリアンで一時期を過ごす。その後、ノースカロライナのブラック・マウンテン・カレッジにおいてヨゼフ・アルバースのもとで学び、マース・カニンガム、ジョン・ケージ、デヴィッド・チュードアなどに大きな影響を受ける。
1949 ニューヨークへ移り住み、アート・ステューデンツ・リーグで学ぶ。(〜1952年)
1954 「コンバイン・ペインティング」と呼ばれる一連のシリーズの制作を開始。
1958 ニューヨークのレオ・キャステリ・ギャラリーで初個展が開かれる。
1960 タチアナ・グロスマンと出会い、1962年よりULAEで本格的なリトグラフの制作が始まる。タチアナ・グロスマンと出会い、1962年よりULAEで本格的なリトグラフの制作が始まる。
1963 第5回リュブリアナ国際版画ビエンナーレ(ユーゴスラヴィア)で《アクシデント》が大賞を受賞。
1964 第32回ヴェネツィア・ビエンナーレにおいて、アメリカ人アーティストとして初めて金獅子賞を受賞。
1993 第2回ヒロシマ賞を受賞し、広島市現代美術館でロバート・ラウシェンバーグ展を開催
1998 ニューヨークのグッゲンハイム・ソホー美術館とグッゲンハイム・エース・ギャラリーで回顧展 高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門受賞
2008 5月12日、フロリダにて逝去
* この略歴は、本展に関連したロバート・ラウシェンバーグのの版画作品にまつわる活動や出来事を中心にまとめられたものです。













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