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キキ・スミス 新作版画集出版記念展『Puppetry / あやつり人形』


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garland  cloud
“Puppetry”より“Garland”(左)、“Cloud”(右) 2012
シートサイズ: 381x 457 mm イメージサイズ: 335 x 251、フォトポリマー、Ed.13


会期
前期:2012年12月18日〜29日
後期:2013年1月22日〜2月16日
火−土 12:00−19:00
冬期休業::2012. 12. 30 〜2013. 1. 21

 

 このたび、キドプレスではアメリカを代表する現代作家キキ・スミスと新作版画集を制作いたしました。
 『Puppetry』と名付けられた5作1組の版画集は、それぞれ作者の視点で切り取られた身体の部分とそれに関わるモチーフが、コラージュや写真をもとに、色鮮やかに表現されています。
一部に鉛筆でドローイングが加えられるなど、美しく繊細でいてユニークな魅力溢れる作品に仕上がりました。ぜひ、この機会にご高覧ください。


<作家について>
 1954年ドイツ、ニュルンベルグ生まれ。現在はニューヨークに在住し、制作を行っています。
1979年から1982年にかけてはColab (Collaborative Project, Inc.)に参加しながら様々な芸術家と関わり、1990年にはニューヨークMOMAのproject24で個展を行うなど、精力的に制作と発表を続けてきました。
 ドローイングや彫刻、版画などによる独創的な造形表現で、アメリカ、ヨーロッパ各国で圧倒的なパフォーマンスを繰り広げ、今日では、現代美術を語る上で欠かすことのできない、アメリカを代表する女性アーティストです。

 1979年のはじめ頃から作品のテーマとして今日にも繋がる、身体の部位に関する興味が現れはじめ、1985年にはより専門的な知識を得るため緊急医療技師の資格を取得しています。
そうして身体を内外の双方向から同時に洞察し、やがてその興味の対象は身体から、その器官(細胞、神経)や機能(分泌や代謝)へと向かって行きました。
こういった観点から作者が見つめる「生命の循環」「死と復活」というテーマは、作品を作る上で最も重要なものとなります。 
  また古典的な神話や民話からストーリーが引用されることもあり、そこでは動物と人間との関係性について見つめ直し、私たちに問題を投げかけています。 


<作家コメント>
Automaton(機械仕掛けの人形)の動きが、魔術や自然界を超えた何がしかの力によって導かれ生まれる動き、あるいは動かされている様子のようで、それを意図的に暗示して、版画集のタイトルを”Puppetry”と名付けました。
 今回用いたポリマー・プレートは、刷りの工程で生じる、偶然性を伴った視覚的なノイズがおもしろく、気に入っています。


<技法:フォトポリマー(ソーラープレート)について>
 フォトポリマーは、通称、ソーラープレートとも呼ばれている技法で、欧米を中心に過去10年程で飛躍的に多用されるようになった版画の技法である。
フォトポリマーの素材は、感光性を持った樹脂の塗布された金属板をベースとして、凹版、凸版のいずれか、もしくは併用して使用することができる。
 その大きな特徴として、感光するときに、太陽光線を利用することができ、特別な感光機の使用による有害な紫外線からの影響を軽減することができる。
また、感光後の現像には、水が必要なだけで、化学薬品の調合された現像液や定着液を全く必要としない。
これらのことは、水性インク、中性インクの普及とともに、環境に優しい版画の技法であるとともに、廉価で簡便な版画制作として大いに期待されている。


<近年の主な個展>
2012
“Visionary Sugar: Works by Kiki Smith,” ノイベルガー美術館、ニューヨーク
“I Myself Have Seen It: Photography in the Work of Kiki Smith” スコッツデール現代美術館、アリゾナ
2011
“I Myself Have Seen It: Photography in the Work of Kiki Smith”メアリー&レイブロック美術館、エバンストン、イリノイ
2010
“I Myself Have Seen It: Photography in the Work of Kiki Smith”ヘンリーアートギャラリー、シアトル
“Kiki Smith: Sojourn” ブルックリン美術館、ニューヨーク
“Color Still” Under Museum of Contemporary Art, コッレ・ディ・ヴァル・デルサ、トスカーナ
2009
“Her Memory, ミロ美術館” バルセロナ
2008
“The Touch of The Eye / The Look of the Hand”ウェザースプーン美術館、グリーンスボロ、ノースカロライナ
“Her Home”クンストハレ・ニュルンベルグ、ニュルンベルグ/クレーフェルト美術館、クレーフェルト
2007
“Constellation” ネルソン・アトキンス美術館、カンザス、ミズーリ
“A Gathering” ホイットニー美術館、ニューヨーク  など

<主なパブリックコレクション>
ニューヨーク近代美術館、ニューヨーク
メトロポリタン美術館、ニューヨーク
ホイットニー美術館、ニューヨーク
アイルランド近代美術館、ダブリン
ビクトリア&アルバート美術館、ロンドン
テートギャラリー、ロンドン
イスラエル美術館、エルサレム  など他多数