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-gilding-
土屋 裕介 Yusuke Tsuchiya

2012. 9. 1 (Sat)- 2012. 9. 29 (Sat)
opening reception 9.1(Sat) 18:00-20:00

Tue - Sat  12:00-19:00/ closed on Sun , Mon, public holiday

 


tsuchiya

"心地よい檻”
2012
テラコッタ、真鍮線、油彩
H950 x W350 x D320 mm

 

sato

"夕焼け涙夜また明日”
2012
木芯桐塑、鋲、油彩
H450 x W320 x D320 mm

 

 

<<展覧会概要>>
 このたびキドプレスでは彫刻家、土屋裕介による「gilding」展を開催いたします。
 
 展覧会名の「gilding」とは、金箔をきせることという意味があります。転じて、美しく、うわべを飾る虚飾という意味で用いられることもあります。
記憶の集積を、あたかも金箔で覆うように美化して頭の中に残していくことの多い人間の心の有り様を揶揄するでもなく、また、批判するでもなく、凛とした静謐さに満ちた造形美で、土屋は、表現しています。
  テラコッタ(素焼き)によって丹念に形づくられた人物は、潤んだ瞳、温かくぬくもりのある肌質などから、静寂の中にも確かな生命感をもって佇んでいます。
また今回から、桐材の粉末を使った塑像にも取り組み、さらに表現の高まりを見せています。
 土屋の生み出す人物たちは、どこか空(
くう
を眺めているような不思議な眼差しをなげかけています。
その視線の先にあるものを確かめるように作品の前へ歩み寄ると、より味わい深い魅力に気づくでしょう。
心地よい脱力感の中に、汚れのない子供のような無邪気さ、あるいは若者の衝動が感じられ、それは、作者の制作に対する真摯でひたむきな姿勢からの発露と言えるでしょう。

 作品「心地よい檻」では、無数の細い真鍮線が頭部を取り巻くように覆っています。その根元は人物の首に巻き付いていて、頭部をおおきな檻に覆われたような格好です。
それが身につけられたものなのか、或は体の一部なのか・・・さまざまな想像が駆け巡ります。まるで成長した植物のツルのように伸びたその檻はもはや自らの手では外す事も叶わないでしょう。
しかし人物からは悲しみや、焦燥、不安というより、不思議とどこか安堵に似た諦めのような感情がうかがえるようです。
 こうして今回、出展作全ての作品に共通して組み合わされているのが、真鍮や鋲などの金属素材です。
これは、土屋の作品を知る上でキーとなる「記憶」そのもの、あるいはそれに向き合おうとする時の作者の心情を象徴する重要な要素となっているのではないでしょうか。

 また、2012年11月公開予定の映画『悪の教典』(三池崇史監督作品)の劇中に土屋作品が登場します。
登場人物の美術教師の作った作品という設定で、映画の中でも重要な存在として登場する事でしょう。さまざまな媒体を通して、益々期待の高まる土屋裕介の魅力を充分に余す所なく、ご堪能いただける個展になることと思います。
 是非この機会にご高覧賜りますよう、よろしくお願いいたします。

<<作家コメント>>

もし
この“今”も
これまでの“今”も
これからの“今”も
平等に金色で覆われるとしたら
こんなに悲しくて
救われることはないな、と思いました。
作品の“今”を観て頂ければ幸いです。


土屋裕介



<<作家略歴>>
土屋裕介 Yusuke Tsuchiya
1985 千葉県生まれ 
2011 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了

2011 PLUS THE ART FAIR 2011(キドプレス)、東美アートフォーラム
    TAMAVIVANT II 2011「ただいま検索中」展、多摩美術大学
   「Neo Buddhism」展、キドプレス
    第59回東京藝術大学卒業・修了作品展、東京藝術大学
2010 第3回ルシャ・キパル展、佐倉市立美術館、千葉
    個展「- dreamer -」、ギャラリーせいほう、東京
2009 第57回東京藝術大学卒業・修了作品展、東京都美術館
    アートアワードトーキョー丸の内2009、東京駅行幸地下ギャラリー
    アートの中のわたし、わたしの中のアート」展、からさわクリニック、東京
    個展「- your world -」展、ギャラリー海、千葉
   「時空の街―街の音―」展、テプコ浅草館、東京


その他
2012年11月公開予定 映画『悪の教典』三池崇史 劇中に作品が登場します。

 

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