阪本 トクロウ
S a k a m o t o T o k u r o
阪本 トクロウ / Tokuro Sakamoto
2009年6月27日(土)〜7月25日(土)
火〜土 12:00〜19:00 / 日・月・祝日休
オープニングレセプション 6月27日(土)18:00〜20:00
”アフターイメージ/after image” 2009
アクアチント、エッチング/aquatint, etching
“山水/mountain and water” 2009
アクアチント、エッチング/aquatint, etching
“エンドレスホリデイ/endlessholiday” 2009
アクアチント、エッチング/aquatint, etching
“エンドレスホリデイ/endless holiday” 2009
アクアチント、エッチング/aquatint, etching
<<作家・展覧会紹介>>
阪本トクロウは1975年に山梨県塩山市に生まれる。
1999年に東京芸術大学日本画科を卒業後、早見芸術学園日本画塾にて2001年まで学び、卒業後は国内外で数々の展覧会を開催している、注目の若手作家です。
阪本トクロウの描く世界、それはふと懐かしさを感じる、のどかな日常の風景です。
昼下がりの公園にたたずむ遊具、静かな湖面をすすむスワンボート、走行中の車から見える風景など、モチーフはどれもわたしたちに馴染みのあるものですが、一方で、彼の描く世界は、時が止まっているかのようでまたは永遠に続くとも思える、まるで夢の中のような独特の非日常感が漂っています。
せわしなく流れる日々の中、いつもは通り過ぎるだけの場所に、ふと目を向けてみたことが誰にでもあると思います。
視点を変えた瞬間に普段は見慣れたはずの風景が一変し、新鮮なものに見え、現実世界から自分だけ離れたような浮遊感を感じる時、阪本の作品には、そういった場面に生じる心の揺さぶりがあります。
画面に大きく取られた余白は、春曇りのような淡いグレーで表されることが多く、そこには描かれた場所の空気、におい、音までもが想像されるような心の映し場所が存在しています。
大胆な構図は、色調の柔らかさによって静かにぶつかり合い、その境界線が観る人に安心と平穏な気持ちをも与えてくれます。
今回、阪本はこれまでのアクリル画とは手法の違う、銅版画での制作を試みています。
少し強めのコントラストで配された線と面は、印象的なシルエットを浮かび上がらせ、その形が、わたしたちに、いつかどこかで目にしたような不思議な既視感を与えています。
銅版画特有のインクが紙に押し付けられて出る、染み込むような色や、拭き残しによるニュアンスが、より一層作品に深みを持たせ、また、版上に細いニードルでひっかいたり、削ったりした線の集積が、「描く」ということに積極的に向き合った作家の時間を感じさせてくれます。
今回の展示は初の版画作品展です。この機会に新たな阪本トクロウの世界をご高覧下さい。
<<作家コメント>>
作品について
ごくありふれた日常の中から選んだイメージを淡々とシンプルに描きたいと思っています。
現在ここにあるこの世界で生きているということを描いています。
その世界をどのように見ているのか?という一つの視線であり、その世界で現実感をもって現実を生きているのか?という問いかけになればと思います。
呼吸困難に陥りそうなこの世界の「現実」をそのまま投げ出したように描くことで私たちの生活を純粋に浮かび上がらせるものであってほしいです。
私たちが生きている残酷で絶望すら感じられる世界の中で、そこにあるのであろう未来を見つけ、新たな意味が見いだせたらと思います。
生まれてから今までの生きてきた記憶と、現在生きている世界の感触、空気を他者と共有できるものであればと思います。
版画制作について
私の作品は版画作品に影響されて作られた作品も多く、そういったこともあり、版画の制作は必然的なものでもあったと思います。
技術的な問題もあるので、今回機会を与えられて作ることとなりました。
制約も多い技法であるので、ものの見方、作り方をシンプルに考えなくてはなりません。
そういう作り方と出来たイメージは参考にしていました。
<<作家略歴>>
阪本 トクロウ / Tokuro Sakamoto
1975年 山梨県塩山市生まれ
1999年 東京芸術大学 美術学部絵画科日本画専攻卒業
2000年 早見芸術学園 日本画塾卒業
2009年 アートフェア東京(東京国際フォーラム/有楽町)
2008年 アートフェア「ART Singapore 2008」(Suntec Singapore /シンガポール)
VOCA 2008(上野の森美術館/上野)
新収蔵品展(山梨県立美術館/甲府)
2007年 アートフェア「東京コンテンポラリーアートフェア」(東京美術倶楽部/新橋)
ART Shanghai 2007 (上海世貿商城/上海)
2006年 第3回東山魁夷記念日経日本画大賞展 (ニューオータニ美術館/赤坂)
新収蔵品展(山梨県立美術館/甲府)
2005年 トーキョーワンダーウォール2005出展(東京都現代美術館)
2004年 大木記念美術家助成基金 成果発表展(山梨県立美術館ギャラリーエコー/山梨)
シェル美術賞展(ヒルサイドテラス/代官山)
2003年 群馬青年ビエンナーレ’03(群馬県立近代美術館/群馬)
第9回リキテックスビエンナーレ(スパイラルガーデン/青山)
2002年 第21回安田火災美術財団選抜奨励展(安田火災東郷青児美術館/新宿)
2001年 昭和シェル石油現代美術賞展(目黒区美術館)
その他、個展、グループ展を多数開催。
<<パブリックコレクション>>
山梨県立美術館
山梨県立文学館
Tokuro Sakamoto
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