KP print show vol.7    
手のとどくアート

2012年7月14日(土)~ 8月25日(土)

火 ~土 12:00 - 19:00 / 日・月・祝は休廊
夏期休業 8/14〜20

 

wisut
“Tomorrow Yesterday”Wisut Ponnimit 2011
lithograph Ed.30

 

ojun
"投身2/Dive2" O Jun 2010
deep etching, white ground, gouache Ed.15

 

sakamoto
"バード/bird" (blue version) Tokuro Sakamoto 2009
etching Ed.10

 

suwa
"untitled" Atushi Suwa 2009
lithograph Ed.18

 

higuchi
"公園/the park" Kae Higuchi 2011
etching Ed.25

 

vesper
"宵/vesper" 
Kumi Machida 2011
soft ground, drypoint Ed.30

 

 

 ふだん美術館やギャラリーへ出かけて展覧会を鑑賞するけれど、生活の多くを過ごすオフィスや自宅等、日常的な場所にアートは無縁という方も少なくはないでしょう。自分だけの場所で作品を眺めるなんて贅沢とも思えるかもしれません。
 ですが、作家の知性や情熱が一心に注がれた作品は、完成した瞬間から色褪せる事のない輝きを放ち続けます。そんな一点に出会えることができたら、それまでの生活が更に豊かなものへと変わるでしょう。
 今回ご紹介するのは、日本のアートシーン最前線で活躍する5
名の作家Wisut Ponnimit, O Jun、阪本トクロウ、諏訪敦、町田久美による版画作品です。
 すべてが作家とプリンターが長い時間を費やして丁寧に作り上げたオリジナル版画です。一作につき複数のエディションが制作されるので「美術館で見たあの作品を自宅でも眺められる」という版画ならではの特徴も魅力の一つです。
 この機会に、もっと身近にアートを感じてください。とっておきの一点を見つけられるかもしれません。

 

<出展作家プロフィール>
ウィスット ポンニミット / Wisut Ponnimit
1976年 タイ生まれ。愛称はタム。
     シラパコーン大学デコラティブ・アート学部卒業。
1998年 マンガ家としてデビュー。
2003年 神戸在住。アニメーションや音楽などにも活躍の幅を広げる。
2005年 横浜トリエンナーレに出展。

絵画やアニメ−ションの制作、雑誌やwebではマンガやコラムの連載などを手掛けている。音楽家としてもアクティブに活動を続け、様々なアーティストとのコラボ展やライブイベントを行う。
2009年には、外国人作家としては初となる、文化庁メディア芸術祭マンガ部門で奨励賞を受賞。

<<展示歴>>
2012年 タムトリ展「未来ちゃんの未来」(blind gallery・東京)
2011年 個展 タムくんのゆれないこころ展(丸の内ハウス・東京)
2010年 個展 TIME LAP(渋谷SUNDAY ISSUE・東京)
     文化庁メディア芸術祭 京都(京都芸術センター、京都国際マンガミュージアム)
     TWO −タム&ウィーのコラボ展-(南青山SUNDRIES)
タム君のお風呂(ディクショナリー倶楽部 ART SCHOOL・東京)
2009年 個展 LR展(Shin-bi・京都精華大学)
     個展 PAPER (Villa Duang Champa・チェンマイ)
個展 LOVE STORY(J Gallery・バンコク)
     Art@Agnes 2009(KIDO Pressより出展/アグネスホテル・東京)など

 

 

オー ジュン / O Jun
1956年 東京に生まれる
1982年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了
1984-1985年 バルセロナ(スペイン)に滞在
1990-1994年 デュッセルドルフ(ドイツ)に滞在
2007年 文化庁芸術家在外研修員としてブエノスアイレス(アルゼンチン)に滞在
2009年より 東京藝術大学美術学部油画科准教授
現在  東京に在住・制作する

 O JUNの作品は、ユーモラスに、時にアイロニカルにシリアスなテーマを暗示しています。しかし追求された画面の平面性によってか、それらは実に軽快に私たちの眼に飛び込んできます。新作銅版画は、ホワイトグランドを用いた筆のストロークが美しい、O JUNならではの作品となりました。

<<展示歴>>
2011年 「山川の間で」(青梅市立美術館)
    「OJun展」 (Galleria Finalte・名古屋)
     「ZIPANGU ジパング」(日本橋高島屋8階・東京)
2010年 個展「星はなんでも知っている」 (KIDO Press, Inc・東京)
     個展「O JUNの山」ミヅマアートギャラリー
     「絵画の庭 ゼロ年代日本の地平から」国立国際美術館(大阪)
     「アーティストファイル2010」国立新美術館
     「入り口はこちら、なにがみえる?」(MOTコレクション)東京都現代美術館  
2009年 個展「JEDNOM OLOVKOM 一本の鉛筆から」ブェリュニュス現代美術館(リトアニア)
2008年 個展「眼の、前に」公開制作 府中市美術館 など

 

 

阪本 トクロウ / Tokuro Sakamoto
1975年 山梨県塩山市生まれ
1999年 東京芸術大学 美術学部絵画科日本画専攻卒業

 阪本の描く風景は、春曇りのような淡いグレーで描かれた場所の空気、におい、音までもが想像されるような心の映し場所が存在しています。 
 いつか何処かで目にしたような不思議な既視感を覚える世界が、大胆な構図によって描かれています。境界線は色調の柔らかさによって静かにぶつかり合い、観る人に安心と平穏な気持ちをも与えてくれます。
 
<<展示歴>>
2012年 個展「遠景」(アートフロントギャラリー・東京)
     新収蔵品点(山梨県立美術館)
2011年 個展「交差点」(GALLERY MoMo・東京)
     アートフェア東京(東京国際フォーラム/有楽町)
2010年 個展「けだるき一日を生きるだけ」(アートフロントギャラリー・東京)
     アートフェア「Asia Top Gallery Hotel Art Fair Hongkong」(香港)
2009年 個展 (GALLERY MoMo・東京)
   個展 (KIDO Press, Inc.・東京)
   アートフェア東京(東京国際フォーラム)
2008年 アートフェア「ART Singapore 2008」(Suntec Singapore /シンガポール)
   VOCA 2008(上野の森美術館)
   新収蔵品展(山梨県立美術館/甲府) など
<<受賞歴・パブリックコレクション>>
第3回東山魁夷記念日経日本画大賞、シェル美術賞、昭和シェル石油現代美術賞、新生賞(新生堂/青山)
山梨県立美術館に作品所蔵

 

 

諏訪 敦 / Atsushi Suwa
1967年  北海道に生まれる
1992年  武蔵野美術大学大学院修士課程修了
1994年  文化庁芸術家派遣在外研修員(2年派遣)に推挙 在 SPAIN

 諏訪敦の作品には目を奪われるほどの美しい描写が見られますが、卓越した手仕事の根底には、作家が対象に抱く畏敬の念、慈しみの心がありありとうかがえます。高く保たれた精神集中の中、その崇高な心は身体と連動し、一筆一筆を通して、命の糸を紡ぐように描かれるからこそ、観る者の心を深く打つ魅力があります。

<<展示歴>>
2012年 「The Nude ヌード 藤島武二から諏訪敦まで」(笠間日動美術館・茨城)
     「巧術2.52/Koh-jutsu 2.52」(六本木A/D Gallery・東京)
2011年  個展「どうせなにもみえない」(諏訪市美術館・長野)
     「手練〜巧術其之貳」(スパイラルガーデン・東京)
      個展「一蓮托生」(成山画廊、東京)
2009年  個展(KIDO Press, Inc.、東京)
     「武蔵野美術大学80周年記念展 絵の力ー絵の具の魔術ー」(武蔵野美術大学、東京)
2008年  個展「複眼リアリスト」(佐藤美術館、東京)
2007年 「SLEEPERS 3.0」(第17回 東美特別展・東京美術倶楽部)
     「文化庁芸術家在外研修制度40周年記念 旅展ー異文化との出会い、そして対話ー」展(新国立美術館)、東京 など

 

 

樋口 佳絵 Kae Higuchi
宮城県仙台市 出身
1997   東北生活文化大学生活美術学科卒業
2005   宮城県芸術選奨新人賞 受賞
現在  仙台市に住む


 樋口の描く少年少女たちは、いつか何処かで見かけたことのあるような姿で不思議な空間の中にたたずんでいます。 また表情からは、あどけなさや素直さ、時に悲しげで時にユーモラスな、彼らの心の一片を覗き見る事ができます。  その描写は、日々の移り変わりをもう一人の自分が、どこか離れた場所から、つぶさに見つめているかのようです。 

<<主な個展>>
2011  個展「I'm here」六本木A/D Gallery、東京
       個展「針がとぶ」キドプレス、東京
    「清澄サイレントアートオークション」出展、清澄アートコンプレックス(キドプレス)、東京
2010  個展、キドプレス、東京
2008 「エンシンリョク」 西村画廊、東京
2007 「耳鳴り」 西村画廊、東京
      桜華書林、長野
     「アートみやぎ 2007」 宮城県美術館 など
    「VOCA展 2007」 上野の森美術館<大原美術館賞>
2006 「新現美術協会展」 仙台メディアテーク<会員賞>(’03, '04, '05) など

 

 

 

町田 久美 / Kumi Machida
1970年 群馬県高崎市に生まれる
1994年 多摩美術大学絵画科日本画専攻卒業
1999年 前橋アートライブコンペ'99 グランプリ受賞
2006年 アーティスト・イン・レジデンス・プログラム「ARKO」(大原美術館、岡山)で滞在制作
2007年 第四回上毛芸術文化賞受賞
  The Sovereign Asian Art Prize 2007を受賞
2008年 文化庁芸術家在外研修員としてデンマークで滞在制作
 町田の描く人物は、みな子供のようで、また人形のようでもあり、どこか中性的です。
巨視的なまでにおおらかな表面と、顕微鏡で見たような繊細に描かれた部分の描写との対比が魅力的です。、融合する形や肉体の変形、不思議な質感など、みる者は概念を打ち壊す意外性に次々と驚かされます。
 描線というより、痕跡に近いようなわずかな線の集積を町田は愛おしむかの様に造形へと昇華させて行きました。

2012年 「コレクション展」(国立国際美術館、大阪)
     「35周年記念展 コレクションの誘惑」(国立国際美術館、大阪)
     「第5回東山魁夷記念 日経日本画大賞展」(上野の森美術館、東京)
2011年 「町田久美新作銅版画展」(KIDO Press, Inc.・東京)
     「BYE BYE KITTY!!! BETWEEN HEAVEN AND HELL IN CONTEMPORARY JAPANESE ART」 
      (Japan Society Gallery 、ニューヨーク)
     「I氏コレクション展」(高崎市美術館)
     「VISIONS」(Ha gamle prestegard、ノルウェー)
2010年 「絵画の庭ーゼロ年代日本の地平から」(国立国際美術館、大阪)
     「DOMANI・明日展 2010」(国立新美術館、東京)
     「絵画の庭」(国立国際美術館、大阪)
2009年 「ネオテニー・ジャパン-高橋コレクション」
     (霧島アートの森、鹿児島、札幌芸術の森美術館、北海道、上野の森美術館、新潟県立美術館、
      秋田県立近代美術館、米子市美術館、鳥取、愛媛県美術館)(-'10巡回)
2008年 「Kumi MACHIDA die kunst japans/ past − present − future/ araki meets hokusai & kumi machida」     
      (kestnergesellschaft、ハノーバー)
     「Kumi Machida - ことばを超えて語る線」( 高崎市タワー美術館)
2006年 「MOT アニュアル No Border−「日本画」から「日本画」へ」東京都現代美術館 など