O JUN



星はなんでも知っている

tane_women

種蒔く人・女 a seeding woman


toshin

投身2 Dive! 

white ground, etching 2010

(c) 2010 Artist and KIDO Press, Inc. All rights reserved.

会期:10月23日(土)〜11月20日(土)

火〜土 12:00〜19:00 / 日・月・祝日休

オープニングレセプション 10月23日(土)18:00 〜 20:00

 

2010 10.23 (sat) - 11.20 (sat)  12pm -7pm
opening party : on Saturday 23rd. Oct. 6pm - 8pm




<<作家・展覧会について>>
 平面性を持つ素材にこだわり、ドローイングを中心にした表現を追求してきたO JUN。
ユーモラスであり、ときにシリアスなその独特の視点で構成される作品は、平面絵画であるが故の奇妙な軽快さと共に、観る者の印象に深く刻み込まれます。

82年に芸大を修了した後、O JUNはこれまで当たり前に続けてきた「絵を描く」という行為に、疑念を抱き、しばらく筆を置いてしまいました。描く事を断絶する生活から、改めて「己」と「描く」ことの結びつきに気づき、それまでの思い込みや固定概念から解放され、制作を再開します。80年代後半には、とてつもなく重い自作の合金でできた棒を筆に見立て壁に描くライブパフォーマンスを行い、「描く」ことそのものをテーマとし、身体の反応と関係性について再確認しています。
90年代には、5年間をドイツで過ごし、写真や執筆などの新たなジャンルによっても作品を残し、それまで積み重ねた思想や歴史に、異文化圏での経験を重ね、表現が更なる厚みを増しました。 帰国後、平板に描くさまざまな手法に取り組みながら、勢力的に活動を続けています。
 その内容が幅広い年齢層から共感・支持を受けるなか、これまでたびたび美術大学で教壇に招かれる事がありました。そして昨年からは、東京芸術大学美術学部油画科にて准教授に就任しています。

 絵を描く事について、「絵という平らな面に、空間的なことや内面的なことや象徴的な意味とか複雑なもろもろのものを平に引き延ばすというか、平に歪める作業」と話すO JUNの作品には、どれも日常、私たちが目にする様なものが描かれています。
 その描き方は、定規で引かれた様なまっすぐな線、縁取りのみで表わされる形、同線上に並んだ全景と背景などによって、独特に切り取られ構成されて、遠近法などの写実的な約束事は、あえて無視されて描かれています。
 歪められた現実によって生じた違和感やショックが、作家の凝視する視点の先へと、私たちを導いてくれるのです。そうして見えてくる事柄は、普段私たちが疑いもなく現実ととらえている事象を平坦な道に例えるならば、不意に現れた段差につまずく驚きのような、誰にでも訪れうる、普遍的なテーマと言えるでしょう。

 そんな中、O JUNがより平面性の高い版画に興味を持ち、選んだ事も自然な結びつきと言えるでしょう。
今回、用いたホワイトグラウンドという銅版画技法によって、版に直接筆で描く事が可能となりました。それによって得られるタッチは、ドローイングやペインティングに通じる、重層的な絵の具の重なりや微妙なかすれ具合を感じさせる、不思議な奥行きをもたらしました。
 生み出された新作のテーマは崖と心中(!?)。運命に昏迷する男女の旅がドラマティックに描かれています。銅版画に加え、数点のドローイングも展示する予定です。ご期待ください。
 今回の展覧会について是非、貴社・貴誌にて情報のご掲載をお願い申し上げます。

<<作家コメント>>
 昨年、木戸さんよりお話をいただき、銅版画をつくりました。
イメージが二転三転してなかなか定まらず、徒に月日ばかりを費やしてしまいました。
 小品ですが、崖から身を投げる男女の様子を二点描きました。
一点は、二人手に手を取って見事本懐を遂げますが、もう一点は女だけを先に飛ばせ、男は怖じ気づき崖上で腰をぬかしている場面です。ある夜、ウォーキングの最中にその絵がふいに思い出された。”お前はいずれか?さあ!”、二つの絵は、我が身に迫る「踏み絵」ではないか・・・。
ようやく合点がいくと、”お前のような昼行燈、あの崖までも行き着けまいて”。
軒下に懸る金星に嗤われました。 

O JUN

<<作家略歴>>

O JUN / オウ ジュン
1956 東京に生まれる
1982 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了
1984-1985 バルセロナ(スペイン)に滞在
1990-1994 デュッセルドルフ(ドイツ)に滞在
2007 文化庁芸術家在外研修員としてブエノスアイレス(アルゼンチン)に滞在
2009より 東京藝術大学美術学部油画科准教授
現在  東京に在住・制作する

主な展覧会

2010   個展「O JUNの山」ミヅマアートギャラリ(東京) 
     「絵画の庭 ゼロ年代日本の地平から」国立国際美術館(大阪)
     「アーティストファイル2010」国立新美術館(東京)
     「入口はこちら、なにがみえる?」(MOTコレクション)東京都現代美術館(東京)
     「トラ・トラ・トラ」ギャラリー クレメンス・ティーメ カールスルーエ(ドイツ)
     「The 14th Vilnius Painting Triennal」ブェリュニュス現代美術館(リトアニア)
2009   個展「JEDNOM OLOVKOM 一本の鉛筆から」ベオグラード(セルビア)
     「O JUNと加藤啓展」アートコンプレックスセンター(東京)
     「異界の風景 - 東京藝大油画科の現在と美術資料」東京藝術大学美術館(東京)
     「痙攣子」(O JUN・森淳一)ミヅマアクション(東京) 
2008   個展「眼の、前に」公開制作 府中市美術館(東京)
     個展「O JUN」ガレリアフィナルテ(愛知)
     個展「I AM O JUN」 J.CHENギャラリー(台湾)
2007   個展「遊園」ミヅマアートギャラリー(東京)
     「森」としての絵画:「絵」のなかで考える」岡崎市美術博物館
     「O JUN・戸川英夫(dialogue1 絵画の面目)カスヤの森現代美術館(神奈川)
2006   「LVRFI」studio Ono神奈川(’08、T&S東京)
     「マスター・グラフィカ:イタヅ・リトグラフ版画工房展」/グリフィス大学(オーストラリア)
2005    個展「O JUN−未熟の人」void+(東京)
     「D/JBrand〜ドイツに学んだアーティストの発火点〜」東京藝術大学美術館

パブリックコレクション

国立国際美術館/大阪
カスヤの森現代美術館/神奈川
岡崎市美術博物館
東京都現代美術館