樋口 佳絵 

Kae Higuchi

会期 2010年9月18日(土)〜10月16日(土)

火〜土 12:00〜19:00 / 日・月・祝日休

オープニングレセプション 9月18日(土)18:00〜20:00


kotaenokakaretakami

「答えのかかれた紙」エッチング、アクアチント、スピットバイト 2010

 


hankechi

「はんけち」モノタイプ 2010

 

mouhu

「わたしの毛布」モノタイプ 2010

Copyright (c) 2010 Artist and KIDO Press, Inc. All right reserved.



<<作家・展覧会紹介>>
 この度キドプレスでは、樋口佳絵展を開催いたします。
宮城県仙台市出身の樋口は、現在も同所にて制作を続けています。

 油彩画と古典的なテンペラ技法を併用しながら、現代に生きる一人の女性の視点を描いてきました。
テンペラ特有の繊細で柔和なタッチや、温かな色合いで描かれるのは、いつか何処かで見かけたことのあるような、少年、少女の姿です。
不思議な空間の中にたたずむ彼らはみな、夢中に何かに取り組んでいます。
そのしぐさには、あどけなさや素直さを感じ、また表情からは、時に悲しげで時にユーモラスな、彼らの心の一片を覗き見る事ができます。
 日常生活にありながら、無意識では見過ごしてしまいそうな細かな出来事が、子供のように純真な作者の視点で描かれているのです。
そしてその精力的な活動と、実力が認められ2005年には宮城県芸術選奨新人賞、2007年の「VOCA 2007」では大原美術館賞を受賞しています。

 そんな樋口佳絵が、今回、銅版画によって新境地に挑みました。
プリンターとの粘り強いやり取りが納得のいくまで繰り返され、構想・制作に約1年をかけて、今回の新作ができあがりました。
 油彩やテンペラとはまた異なる、腐食の偶発性によって得られるマチエールや、アクアチントの墨の色など、作品の世界感に新たな彩りを添えました。
 新作銅版画とモノタイプを展示する予定です。是非、この機会にご高覧下さい。



<<作家コメント>>
毎日の生活の中にある、「あっ」と小さく声に出してしまうような、ちょっとした違和感。
何かのおりにふと思い出し、つい目をつぶって立ち止まってしまうような、ささくれのような記憶のかけら。
言葉には出来ないぼんやりとした感覚は、形を留めず、サラリとすぐに消えてゆくのですが、なぜかとても大切な気がします。
そんな、つかもうとすると散ってゆくような、あいまいな気分を絵に出来ればと思っています。

ニードルで銅版に引いた線は鉛筆のそれとは全く違い、小さな傷のようです。
描いた細い線は腐食液の中でじわじわと溝になり、深まっていく過程は、
傷が深くなる気もしますし、なんだか逆に修復されているような気もしました。
生々しさが消えて、痕になるような。
きっと同じものを描いても、絵と版画では伝わるものが違うのかも知れません。
見てくださる方にも、そんな感覚が伝わると良いなと思います。

樋口佳絵

 

<<作家プロフィール>>

樋口 佳絵 Kae Higuchi
宮城県仙台市 出身
1997   東北生活文化大学生活美術学科卒業
2005   宮城県芸術選奨新人賞 受賞
現在  仙台市に住む

<<主な個展>>
2008   エンシンリョク 西村画廊
2007   耳鳴り 西村画廊
      個展 桜華書林、長野
2005    N.E. blood 21 樋口佳絵展 リアス・アーク美術館、気仙沼
      24℃ 西村画廊、東京
2004    ギャラリー五番街、仙台('03)
      カフェ・マティス、仙台('03)
2002    公開制作/つくる私を描く私 宮城県美術館創作室

<<主なグループ展>>
2007    アートみやぎ 2007 宮城県美術館
      VOCA展 2007 上野の森美術館<大原美術館賞>
2006    新現美術協会展 仙台メディアテーク<会員賞>(’03, '04, '05)
2005    耳の器-20枚の綴られない本 リブリッジエディット・仙台
2004    第13回青木繁記念大賞展 石橋美術館 久留米、郡山市美術館
      第21回グラフィックアートひとつぼ展 ガーディアンガーデン・東京
2001    上野の森美術館大賞展 上野の森美術館、東京(’99, '00)
2000    河北美術展 藤崎本館<青森県知事賞>
1998    河北美術展 藤崎本館、仙台<仙台市長賞>





<BIOGRAPHY>

Kae Higuchi
1975 Born in Sendai, Miyagi
1997 Graduated from Tohoku Seikatsu Bunka College, Department of Living Art
2005 Awarded the Young Artist Prize of Miyagi Prefecture
Lives and works in Sendai, MIYAGI

>>Solo Exhibition
2008 "Enshinryoku" Nishimura Gallery
2007 My Ears are Ringing Sometime Nishimura Gallery
OkaShorin, Nagano
2005 N.E. blood 21 HIGUCHI KAE EXHIBITION Rias Ark Museum of Art, Kesennuma
24℃ Nishimura Gallery, Tokyo
2004 Gallery GOVANGAI, Sendai('03)
Cafe Matisse, Sendai('03)
2002 Open Studio / Paint Me My Making Paintings Miyagi Museum of Art


>>Selected group exhibitions
2007 Art Miyagi 2007 The Miyagi Prefectural Museum of Art
VOCA2007 The Ueno Royal Museum <Ohara Museum of Art Prize>
2006 Shin Gen Art Association Exhibition Sendai Mediatheque (’02, '03, '04, '05) <'03 Member Prize>
2005-6 A MUSE LAND 2006 Sweet Memories Hokkaido Museum of Modern Art, Sapporo
2005 mimi no utsuwa re:bridget edit, Sendai
2004 The 13th Aoki Shigeru Memorial Award Exhibition Ishi- bashi Museum of Art, Kurume Koriyama City Museum of Art
The 21st Graphic Art Hitotsubo Exhibition, Guardian Garden, Tokyo
2001 The Ueno Royal Museum Grand Prize Exhibition The Ueno Royal Museum, Tokyo (’99, '00)
2000 Kahoku Art Exhibition Fujisaki <Aomori Prefectural Governor Prize>
1998 Kahoku Art Exhibition Fujisaki, Sendai <Sendai Mayor Prize>